生命保険会社の負債の特徴
生命保険会社の負債は、その大半が「責任準備金」と呼ばれる将来の保険金の支払いのために積み立てたものです
生命保険契約には終身保険のように契約期間が30年以上の長期にわたるものもあるため、負債の年限も同様に長くなります。
加えて、生命保険会社の負債には、契約者による解約や保険事故の発生に伴って契約期間がいきなり終了するといった特徴もあります。
したがって、生命保険のALMにはこうした特徴に対応する役割が期待されます。
長期負債への対応
上述のとおり、生命保険の負債には「年限が非常に長い」という際立った特徴があります。
その間、「変額保険」や「変額年金」と言った少数の商品を除けば、「予定利率」と呼ばれる一定の利率での運用を契約者に確約する必要があります。
そのためには、満期まで保有すれば利回りが確定している国債が最もふさわしい運用商品ということになります。
しかし、現在では40年国債のように非常に長い年限の国債も存在していますが、初めて30年国債が発行された平成11年以前は年限が最も長い国債は20年国債でした。
これでは、30年以上の年限を持つ契約に対応させることができません。
また、予定利率は超長期国債の利回りを超えていることもあり、その場合は株式や土地のようなリスク資産を運用ポートフォリオに組み込んでいく必要があります。
こうした点が、生命保険のALMを難しいものにしています。
解約や保険事故発生への対応
さらには、解約や保険事故の発生により、契約がいきなり消滅することが生命保険ALMを一層複雑なものにしています。
保険事故は、戦争や疫病の蔓延等を除けば大数の法則に従うため、集中して発生することは避けられますが、解約は契約者から見るとアメリカンオプションの買いに相当するため、金利上昇時などに集中する可能性があります(このあたりの事情については今後解説します)。
したがって、生命保険会社のALMでは、こうした潜在的なオプションの売りに相当するポジションをコントロールすることも求められます。
まとめ
これまで解説してきたように、生命保険会社のALMには銀行のALMと異なる難しさが存在します。
今後、生命保険会社のALMについても少しずつ解説していこうと思います。
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