銀行ALMの役割
皆さんもご存じのとおり、銀行はお金をお借りしたり(預金)、お貸ししたり(貸出)して収益を得ています。
このため、営業を担当するリテール部門や法人営業部門の担当者は低金利での資金調達(預金)や高金利での資金運用(住宅ローンや法人向けローン等の貸し出し)を行う機会を常に窺っています。
ただし、一人一人の営業担当者は銀行から与えられた目標(ノルマ)を達成することを至上命題としており、銀行全体の資金の状況について把握することは困難です。
そこで、調達した資金と運用する資金の間の関係を調整する役割が必要となります。
この役割を担うのが、Asset Liability Management (以下、ALM)です。
ALMを担当する部署は銀行では、「資金証券部」や「資金為替部」といった名称が付けられていることが一般的です。
ALM部門の銀行における地位について
一般的に銀行では、低金利での資金調達や高金利での資金運用機会を捉える業務が「本業」と見做され、ALM担当部署を始めとする市場部門の地位は対顧部門に比して低く見られがちです。
ですが、高い収益性が見込まれる貸出を実施したくとも、資金がなければ貸出することはできません。
このため、ALMは銀行の活動を裏から支える重要な役割を担っていると言えます。
私が昔、生命保険会社から銀行に転職した時、上司から「経営企画部は銀行の頭脳、資金証券部は銀行の心臓」と説明されました。
今、振り返ってみても適切な説明であったと思います。
収益源としての役割
さらに、日本の銀行では市場部門に本業の補完的な役割が期待されています。
すなわち、景気が悪く貸出からの収益が伸び悩んでいる時期には、市場部門が大きな収益を獲得することが求められているのです。
このため、運用商品は「景気が悪化している時期に価格が上昇する商品」、すなわち国債が中心となります。
まとめ
以上のように、銀行のALMは預金と貸出の調整のみならず、景気悪化時の収益源などの様々な機能を果たす必要があります。
これからの投稿で、こうした機能を果たすためにどのような工夫がなされているかについて少しずつ解説していこうと思います。
コメント